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【耐用年数は?】太陽光発電設備の寿命や発電効率の低下

「太陽光発電の寿命ってどのくらい?」「発電効率は落ちてしまうの?」

太陽光発電設備を運用していく中で、こんな疑問を感じることはありませんか?

せっかく設置した設備ですから、できるだけ長期間でかつ、効率よく運用したいですよね。しかし、屋外の設備がゆえに、雨風にさらされて受ける物理的なダメージや、物理的な経年劣化は避けられません。

今回は、太陽光発電設備をどれくらい長く運用し続けられるのか、劣化や故障などによる発電効率の低下を防ぐ方法をお伝えしたいと思います。

太陽光発電設備は何が劣化するのか?

太陽光発電設備は以下のいくつかの機械によって構成されており、それぞれに損傷・劣化が生じるおそれがあります。

太陽光パネルの劣化

JPEA(太陽光発電協会)では、太陽光パネルの寿命は20年以上と公表されており、現在稼働している最も古いものでは35年以上稼働し続けている設備もあります。ですが、太陽光パネルは屋外に設置しなければならないという特性から、長期間にわたって、風雨にさらされ続けることにより少しずつ劣化し、寿命が縮んでいきます。具体的には、以下のような要素が劣化の原因です。

  • 経年使用によるパネル材料(封止材、ガラスなど)の劣化
  • パネルの一部が日陰になることなどによる発電素子の損傷
  • 自然災害等によるパネルの破損

また太陽光パネルは、使用される素材によっていくつかの種類に分けることができます。かつて産業技術研究所(aist.go.jp)はこの種類によって劣化スピードが異なるとし、劣化率のデータを公表していました。 現在は当該記事が削除されてしまいましたが、それぞれの特徴と、劣化率について触れていきたいと思います。

①単結晶シリコン

太陽電池の中でもっとも古くからあるもので、名前の通り単一のシリコンの塊から作られています。シリコンがもつ力を最大限に活用して光を電気に変換できるため、設置後は16~18%という比較的高い効率で発電を行うことが可能となっています。5~10年後には発電効率が3.2~3.9%ほど低下します。

②多結晶シリコン

資源再利用と製造コスト低減を目的としたもので、現在最も普及しているタイプです。単結晶シリコンを製造した際に発生した端材や不良品を集めて製造されるため、単結晶シリコンに比べて発電効率のポテンシャルは2~3%ほど低下しますが、劣化率は5~10年後で2.3~2.8%ほどに抑えられます。

③アモルファスシリコン

単結晶や多結晶が規則的な原子配列をしているのに対し、「無定形状態」の意味をもつアモルファスシリコンは、その名の通り一見ランダムな原子配列をしています。その特殊な配列ゆえに、弱い光でも比較的吸収しやすいという特徴があります。また、薄膜化も可能で、身近なところではソーラー電卓の太陽電池にも使われています。劣化率は5年で5.7%と、比較的劣化しやすいといえます。

④ヘテロ接合型

通称「HIT太陽電池」とよばれ、結晶シリコンとアモルファスシリコンを結合して作られる太陽電池の種類です。異なる性質をもつシリコン同士をつなぎ合わせており、お互いの欠点を補完しあうため、その発電効率の高さは単結晶以上だと言われています。劣化率も5年でたった2%と、他のシリコン系太陽電池と比較しても長寿命だということがわかります。

⑤CI(G)S

非シリコン系の太陽電池として、近年新たに開発されたものです。原料として、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)などを使っており、それぞれの元素の頭文字を取った名称になっています。電圧が高く、シリコン系の太陽電池の直列枚数が通常4~8枚ほどであるのに対し、1~3枚程度での設置も性能に問題を来さないという特徴があります。劣化率も5年で1.5%と非常に小さい数値となっており、今後の普及が期待されています。

FIT開始当初資源エネルギー庁審議会で採用された太陽光発電システムの経年劣化率は年間0.27%です。またNREL(米国 国立再生可能エネルギー研究所)では、多くの太陽光発電所が毎年0.5%程度発電量低下するデータが公表されています。
JPEA(太陽光発電協会)では太陽電池パネルは20年以上、パワーコンディショナは10~15年程度の寿命と説明しています。

パワーコンディショナーの劣化

パワーコンディショナーは、太陽光パネルで発電した直流電力を家庭などで使用できる交流電力へ変換するほか、悪天候時で発電量が少ないときには、より多くの電力を安定して供給できるように調整する役割を担っています。

JPEA(太陽光発電協会)では、パワーコンディショナーの寿命は10~15年程度と説明しています。パワーコンディショナー内部で機器が稼働することにより、振動などで物理的な摩耗が発生するため、先述した太陽光パネルに比べると寿命が短いのです。また、雨風やホコリ、虫などの影響によって故障が生じる場合もあります。

配線の劣化

基本的に配線は、外部の雨風や摩擦などのダメージから守るために保護管の中に入れます。

しかしこの保護管自体が劣化してひび割れを起こすことで、配線が露出してしまったり、発電設備を敷設した当初から束ねてあった配線が圧迫され、断線してしまう場合があります。

法定耐用年数と寿命は違うので注意!

少し調べると、太陽光発電の法定耐用年数は17年という数字を目にします。ですがこの「17年」とは、減価償却のために設定された数字であり、実際に稼働できる年数とは異なります。

太陽光発電設備を減価償却資産として運用している場合は、会計処理を行うために必要な年数だと覚えておきましょう。

メンテナンスをしていた場合としていなかった場合の発電効率の差

経年劣化以外の要因として、メンテナンスをしないでそのまま放置すると、太陽光パネル表面の汚れだけでも5~10%ほど発電量が低下していることもあります。

これに加え、太陽光パネルやそれ以外の機器の不具合・草木などによる光の遮断・基礎や土台の不良などが起きていると、さらに発電量が低下するほか、設備全体の故障に繋がりかねません。

発電効率を保つためにおすすめしたい管理方法

業者へ定期的な清掃・メンテナンスを依頼する

劣化を防ぎ、発電効率を保つために、こまめに太陽光パネルの清掃を行いたいところ。ですが、パネルの表面は強化ガラスになっており、雑巾などで拭くだけでは表面に傷がついてしまいます。その傷でパネルがくすみ、太陽光が十分に内部に届かなくなることがあります。業者に依頼し、専門の道具を使って清掃してもらうことで、パネル表面へのダメージを最小限に抑えることができます。

また、太陽光パネル以外にも、パワコン内部やファンフィルターなど、ホコリが溜まりやすい場所も清掃することで、発電効率を保つことができます。専門的な清掃ができる業者に依頼するとより安心です。

雑草対策を施す

個人でもできる対策として、防草加工があります。日当たりのよい場所に設置されることの多い太陽光パネルは、地面から雑草が伸び、やがてパネルの高さを超えるまで成長することもあります。太陽光パネルが葉などで隠れてしまい、太陽光が当たる範囲が少なくなると、発電効率が落ちてしまうおそれがあります。また、部分的に影ができてしまうと、その部分だけ電気抵抗が上がり、極度の発熱を起こし、最悪は故障に至るおそれもあります。こまめに草を刈るのは大変です。防草シートを貼るなどして、雑草対策を行いましょう。

劣化が気になり始めたら…

修理・交換して続けるべきか、撤去してやめるべきか?と悩むタイミングにもなると思います。

まずは、専門家である私たちにご相談ください。

メンテナンスのこと、撤去のこと、様々なご相談を承っております。太陽光発電設備の機械的な側面・建築的な側面から、それぞれのプロが適切なアドバイス・サポートをさせていただきますので、安心してお問い合わせください!

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