維持費

太陽光発電設備の設置・運用にかかる税金の優遇制度には何がある?

近年話題になっているカーボンニュートラルへの取り組みの一環として、太陽光発電設備を取り入れる企業が多くなってきました。他にも、最近高騰している電気代を削減する目的で太陽光発電設備の導入を検討している企業が増えてきています。自社発電ができるようになることで、メリットを多く受けられる太陽光発電ですが、導入時などで金銭面の負担が発生する面もあります。

法人が導入する太陽光発電設備には、税制優遇措置が適用できる場合があります。

そこで今回は太陽光発電設備の節税対策についてまとめていきたいと思います。

太陽光発電の設置費用

設置する場所の条件や設備の規模などによって異なりますが、100kwの産業用太陽光発電設備の設置時に発生する工事費と、太陽光パネル本体、パワーコンディショナー、架台などの部材の費用としておよそ2000万円前後の費用がかかると言われています。

売電をしない、完全自家消費型の太陽光発電の場合は、「自家消費ユニット」と呼ばれる機器も追加で購入しなくてはなりません。

また、社屋とは異なる土地へ設備を設置する場合には、その土地の購入費用が発生する場合もあります。

発電した電力の使途(自家消費型or余剰売電型)にもよりますが、この設備の取得費用に応じて、各税金が課されます。

太陽光発電にかかる税金には何がある?

太陽光発電設備は企業にとって資産に該当するため、所有することで税金が発生します。

法人税

法人税は、法人の企業活動により得られる所得に対して課される税です。太陽光発電設備を全量売電型で運用している場合は、その電力を売った収入が事業所得に該当するため、法人税が発生します。

■法人税の算出方法
法人税額=課税所得×法人税率

※法人税率は課税所得の金額や法人の種類などによって異なります。

固定資産税

家屋や土地などの固定資産にかかる税金です。

太陽光発電を行うにあたり、専用の土地や施設を新たに設けたときは、その土地に固定資産税が課されます。

償却資産税

企業が所有している設備は条件によって「償却資産」と見なされ、固定資産の一部として課税の対象となります。償却資産は、その事業のために使用することができる、耐用年数が1年以上・取得価額が10万円以上の高額な設備などが該当します。太陽光発電の法定耐用年数は17年となっており、太陽光発電を使って売電収入を得ている場合は事業の用に供するとみなされ、償却資産に該当することになります。

太陽光発電の税制優遇措置には何がある?

中小企業等経営強化税制

中小企業が償却資産の取得や建設をし、令和7年3月31日まで(2023年4月1日現在)に、工業会や経済産業局による認定を受けた場合、税額控除もしくは即時償却が行え、節税に繋げることができる制度です。
長期的な節税ができる税額控除か、短期的な節税ができる即時償却のどちらを受けるかを選ぶ必要があります。

税額控除とは

固定資産税(償却資産)に対する税金が控除される仕組みです。
控除される金額は、企業の資本金の額によって変化します。

  • 資本金3,000万円未満の企業…10%の税額控除
  • 資本金3,000万円以上1億円以下企業…7%の税額控除

また、税額控除が受けられる金額には上限があり、その年の法人税額・所得税額の20%までとされています。

即時償却とは

太陽光発電設備をはじめとする償却資産は、その使用可能期間にわたって分割して購入費用を計上する必要があり、基本的には費用を一度に計上することはできません。
ですが、中小企業等経営強化税制の認定を受けた場合、当該資産の設備費用をその年の経費に全額計上することができます。
経費をまとめて計上し利益を圧縮することで、初年度に支払う税金が減額されることに繋がります。

中小企業等経営強化税制の対象となる企業の条件

  1. 青色申告者であること
  2. 個人事業主または中小企業主であること
  3. 対象業種であること

特に3.については、ほとんどの業種が制度を受けられる対象になりますが、以下の一部の業種は対象外となります。

  • 電気業
  • 水道業
  • 鉄道業
  • 航空運輸業
  • 銀行業
  • 娯楽業(映画館を除く)
  • 性風俗関連特集営業

対象となる設備の条件

制度の対象となる設備には、その種類と取得費用に条件が課されます。

  • 機械装置(160万円以上)
  • 工具(30万円以上)
  • 器具備品(30万円以上)
  • 建物附属設備(60万円以上)

このうち、太陽光発電設備は「機械装置」に該当します。

申請方法

認定を受けるにあたり、「A類型」「B類型」の申請方法があります。

A類型に該当する条件

  • 当該設備が一定期間内に販売されたものである
    太陽光発電の場合は10年以内に販売されたものが該当します。
  • 生産性が年平均1%以上向上する設備である
    同じ機能を有する設備の旧モデルと比べて、経営力の向上及び生産性の向上に資するものの指標(生産効率、精度、エネルギー効率等)が1%以上向上しているものが該当します。
  • 上記の条件を満たすことを、工業会によって証明されている

B類型に該当する条件

  • 投資利益率が5%以上となることが見込まれるものである
  • 上記の条件を満たすことを、税理士または公認会計士が確認済みである
  • 上記の条件を満たすことを、経済産業局によって確認済みである

A類型のほうが認定までの手間が少ないため、導入したい発電設備が販売から10年以内に販売されたものの場合はA類型として申請することをおすすめします。

中小企業等経営強化税制の注意点

この制度を使えるようにするためには、令和7年3月31日まで(2023年4月1日現在)に工業会もしくは経済産業局によって条件を認めてもらう必要があります。
A類型、B類型ともに、条件を認めてもらうまでに2~3ヶ月ほどの期間を要するため、早めの準備、申請を行うようにしましょう。

その他の節税対策

消費税還付制度

設備投資など多額の支払いが短期間で行われた場合、設備のために支払った消費税額が事業の売上によって消費者から受け取った消費税額を上回ることがあります。この場合、
(受け取った消費税額)-(支払う消費税額)がマイナスになり、その金額を税務署へ申告することで差額分を受け取ることができます。この仕組みを「消費税還付制度」といいます。
例えば、売上が税込み1,100万円の企業が、設備投資をして税込み2,200万円の支出をした場合、消費税分を計算すると
100万円-200万円=-100万円
となり、この100万円を還付してもらうことができるのです。

■太陽光発電による消費税還付が受けられるケース

還付が受けられる対象になる経費は、太陽光発電設備の設置によって販売業者に支払った機器代や外注のメンテナンス費用などの支出と、売電によって得た収入が該当します。

つまり、太陽光発電によって売電収入を得ている場合に消費税還付が受けられる場合があります。

通常、太陽光発電事業者は、電力を供給した際に受け取った消費税から、仕入れにかかった商品の消費税を差し引いた金額を税務署に納める必要があります。
しかし、設備への初期投資費用がかかり過ぎた場合や、電力の供給量が少ない場合では、収入によって預かった消費税額よりも支払った消費税額のほうが大きくなることがあります。そのような場合に、消費税額の差額が還付されるのです。

設備取得費用と維持管理費を経費として計上する

償却資産の設備投資額は、減価償却費として経費計上することになります。太陽光発電設備の法定耐用年数は17年ですので、その間は経費として計上し続けることができます。
また、設備を維持するためのメンテナンス費用やパワコンを動かすための電気代、消耗部品の交換費なども経費として計上することができるため、設備を運用している間の中長期に渡って節税効果が期待できます。

おわりに

太陽光発電設備は、発電量の大きさや設置する広さによって設備への投資額も上がります。環境への配慮や電気代の削減のために導入しようとした場合、数千万単位での設置費用や運用費を負担しなくてはなりません。そこにかかる消費税を節税するためには、「中小企業等経営強化税制」、「消費税還付制度」、「設備にかかる費用をもれなく経費へ計上すること」が有効です。特に売電収入を得ている場合は、得た金額に寄ってどれだけの税制優遇が受けられるのかを確認して、制度を有効に活用しましょう。

ソーラーメンテ.jpでは、太陽光発電の設置、撤去に関するご相談を受け付けております。費用の計算方法が正しいのかがわからない、自分たちが運用する設備は精度を受けられる対象になるのか?など、何でもご相談ください。
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